TASTE STORY

【インタビューvol. 8】石川県能登市のお宿「百楽荘」

TASTE STORYでは、出店者さまや商品にまつわる歴史や思いなどをインタビューしていきます。地域のストーリーを、味わうように楽しんでいただけると嬉しいです。

第八回目は、これまでの旅館というイメージを脱すべく、旅館のあり方や石川の地域色を様々に表現されている「百楽荘」。

今回は、料理長を務める坂本さんに、百楽荘の特徴や料理を通してどんなことを伝えていきたいかをお伺いしました。

 

 

ー百楽荘の特徴を教えてください。

百楽荘は、前身である「あさい井旅館」から始まり、創業86年になります。

2008年に全面リニューアルして、現在に至ります。

百楽荘は、20・30代の若手スタッフを中心に、それぞれが他職種もローテーションしながら、日々アップデートし続けています。

旅館という形態ですが、僕たちはいち企業という考えを持って、会社を運営するような意識で働いているので、これまでの旅館とは違った働き方を実現していますね。

 

 

ーお宿の空間・料理・景色が絶妙な調和のバランスを取られているように思います。

地元の職人さんに器を作っていただいたり、輪島塗り職人さんに漆器を依頼したり、料理に合わせて器を考えています。それはなぜかというと体験というものが、モノからコトへ変わった時代だと思うんですよね。

ただお食事をお出しして食べていただくだけでなく、料理を通して生産者さんや職人さんの作り手の背景までも見えるような表現をして、百楽荘へいらしていただいた意味を作っていく必要があると思っています。

 

 

ー料理を考えるとき、どんなことに重きをおいていますか?

地産地消という言葉をよく耳にしますが、僕たちは土産土法という、この地でとれる旬のものを、この地に伝わる調理法で料理することを意識しています。

例えば、能登の海でとれた海産物を昆布締めでお出ししたりしています。昆布締めは、江戸から明治時代に、北海道から北陸地方へ海を渡って物資や食料を運んだ、北前船というのが栄えていたのですが、北海道で獲れた昆布が大量に運ばれ、北陸地方では昆布締めなどが根付いたと言われているんです。

お肉と言えば、やはり能登牛ですね。能登牛は赤身がとても美味しいんですよ。

僕は兵庫出身なので、但馬牛の素晴らしさも知っていますが、それと同じような表現をするのではなく、能登牛の旨みは何なのかを考え、その旨みを引き出すために、能登の珪藻土の七輪を使って、能登牛本来の旨みを引き出しています。

 

 

ーTASTE LOCALに出品している能登たまごプリンを作ろうと思ったきっかけはなんですか? 

ここでしか味わうことができないものを、できないかという考えが根底にありました。

海洋深層水の塩や、美味しい牛乳をどう楽しんでいただけるかなと考えて、旅館にいらっしゃる多くの日本人の方にとって一番馴染み深いプリンで活路を見出していければと思い、作ったことがきっかけです。 

海洋深層水の一番釜の塩を使用しているのですが、プリンとも相性が良く、甘みとしょっぱさの絶妙なバランスにお客様からご好評をいただいています。

 

 

ーオンライン販売をスタートする際に、気をつけられた点はありますか?

お客様の手元に届くまでに品質が劣化しないか、能登でしか味わえない価値を、ご自宅でも変わらず味わっていただけるかが心配でした。

そこで、パッケージの中側に海の流れをイメージしたデザインを施したりして、能登を連想させて開けた時の感動を味わってもらうための試みをしています。

輸送で崩れてしまわないようにと固めの仕上げにしようかとか、長持ちさせるために添加剤を使用したほうがいいのかと考えたこともありましたが、それはそもそもやりたいと思ったこととは相反すると思ったんです。

能登の生産者さんが作り出す素晴らしい食材を伝えていきたい、そして、お客様に喜んでほしいという本来の思いに立ち返って、味は全く変えずにご提供しています。

 

 

ー今後取り組んでいきたいことはありますか?

ステイホーム中心のライフスタイルに変わって、ご自宅でも体験できる感動もあると思うので、石川県の素晴らしい食材をご自宅で味わっていただけるように、試作をしているところです。

例えば、石川県の蟹を使った蟹鍋や刺身だったり、能登牛を使った商品だったり、季節ごとの食材をお届けできればと思っています。

飲食業界ばかりがクローズアップされていますが、さらに末端の生産者の方達がいらしゃって、作ってもとっても売ることができないという、もっと厳しい状況にいます。

僕たちは生産者の方達がいらっしゃってこそなので、商品を作ることによって、生産者さんとお客様を繋げていくことも使命だと思っています。

 

 

TASTE LOCALを通して伝えたいメッセージはありますか?

お客様には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

飲食だけに限らず、大変な状況にいらっしゃる方が沢山いらっしゃるかと思います。

今まで当たり前だったことが、当たり前でなくなってしまいましたが、今だからこそ自分にとっての大切なことを振り返って、この苦境をみんなで乗り切っていきましょう。 

 

***

 

坂本さんを通して、生産者さん・お客様までの繋がりをとても大切にされながら、料理に向き合っていらっしゃるのをじんわりを感じました。込められた思いとともにプリンをいただきたいです。

 

TASTE LOCALで、百楽荘さんのごちそうを購入することができます。

おうちでこだわりのお料理を味わってみませんか?

 

◾能登みるくと能登たまごの生ぷりん 海洋深層水塩添え

甘さとしょっぱさの絶妙なバランスがたまらないプリン。

価格 ¥ 1,500 (税込)

 

購入はこちら。

https://tastelocal.jp/collections/ranking/products/f1711052p10520107

 


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