TASTE STORYでは、出店者さまや商品にまつわる歴史や思いなどをインタビューしていきます。地域のストーリーを、味わうように楽しんでいただけると嬉しいです。
第三回目は、宮古島の紺碧ザ・ヴィラオールスイートにあるRestaurant État d'esprit (レストラン エタデスプリ)でシェフを務める渡真利さんにインタビューをしています。
フランスで修行された経験と、沖縄独自の文化を掛け合わせた、唯一無二の食文化を追求されているシェフの渡真利さんに、どんなところからインスピレーションを受けているかや、料理を通しての思いなどを伺いました。
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ー渡真利さんがシェフとして活動されている、紺碧ザ・ヴィラオールスイートはどんなところですか?
宮古島から橋を渡った先の伊良部島にある、全室オーシャンビューのプライベートな空間が広がる滞在型ヴィラになります。
僕は宮古島の出身なのですが、シェフをはじめたころに、いずれは地元でガストロノミーのレストランをやりたいと思っていたんです。ちょうど30歳を超えた時に、ご縁があって現在はここにあるレストラン エタデスプリでシェフを務めています。
ここを他と差別化できるとしたらレストランだと自負しています。
旅する意味をもっと感じてもらうためには、料理はとても大切で、ここでしか食べられないものを突き詰めて提供させてもらっています。
ー料理を創作される上で、何か意識されていることなどはありますか?
本島と違う食文化というのが、宮古島ならではだと思うんです。
宮古島の人はすごくお酒飲みの方が多くて、独自の飲み方があるんですが、それをお通りというんです。飲み会の場所で円を描いて座って、一升びんを永遠に回し続けるというのが、このお通りのルールなんですが、これは客人が来た時のおもてなしとして、歓迎するという意味があるんですよね。
僕たちもお客様をお迎えする際に、お通りの文化を摸して、うみへびのスープを一升びんから注いでウエルカムドリンクとしてお出ししています。ちなみに、サプライズでうみへびをお客様へお見せしています。うみへびは燻製しているので、味はカツオだしのような風味で、すごく滋養強壮の効果もあるんですよ。
こうして宮古島の食文化の一つを疑似体験していただいています。
ー島の食文化がインスピレーションになっているんですね。
そうですね。レストランでは、島の眠っている食文化を掘り起こして、一つのコースとしてお出ししています。
沖縄って鎖国をしなかったこともあって、いろいろな文化がミックスされて今も残っているんです。そこで、同じ食材を使ったとしても、東京で表現していることと同じことをしても意味がないなと思ったんです。だから島独自のことを掘り下げて、本島とは違うプレゼンテーションができるんじゃないかと。
そうすることで、旅の体験にも繋がると思うんです。
ー宮古島へ戻られて改めて気づいたことなどはありますか?
海外で修行したからこそ、すごく見直せたというか、誰も気付いていないであろう部分まで見えてきた感覚はありますね。もっともっと表現できることがあるなあと思うんです。
やはり、島国特有の環境で引き継がれてきた文化があるということに、改めて気づいたことですかね。
地元のおじーやおばーに聞いたりして、まだまだ眠っている食文化を探して、ここでしかできない表現をしていきたいですね。
ー料理を通してどんなことを体験してほしいと思っていますか?
宮古島へ旅に来る方達って、青い海だったり色濃い景色だったり、地元の人の優しさなどに癒しを求めてくると思うんです。
その反面、実は陰の要素もあって、台風が何度も来たり、暑さで枯れてしまう土地があったりと、食文化としては決して恵まれている環境とは言えないんですね。
だからこそ生まれた食文化があって、そういう部分をレストランでは表現して、ゲストの方に体験してほしいと思っています。
ーTASTE LOCALで出店されているバスクチーズケーキは、もともとはヴィラに滞在されるお客様へ、デザートとして提供されていたそうですね。
僕はフランスのバスク地方で修行していたんですが、そもそもなぜこの地を選んだかというと、いずれは宮古島へ戻ってレストランをやりたいと思っていたので、豚が有名であったり、海沿いに面している土地柄が沖縄と似ているなと思ったところからだったんです。
そこでバスクチーズケーキを習った経験から、さらにブラッシュアップしたものをレストランで提供しはじめました。それが好評をいただいていたので、コロナ過で来ていただくのが難しいお客様へオンラインでも変わらないクオリティでご提供できるようにして、販売をスタートしました。
チーズケーキは、火入れが一番重要なんです。
表面は焼き目があって、切ると中がトロトロで。粉をほとんど入れていないので、より生食感を体験していただけるのが特徴です。
ー今後チャレンジしていきたいことなどはありますか?
宮古島から世界へ食文化を発信していきたいという一番の目標があって、このレストランを世界中からたくさんのゲストに来ていただけるような場所にしたいんです。そのためには、ワールドやアジアで順位を付けるベストレストランという企画があるんですが、そこでタイトルを取ることです。
なぜフランス料理ではなく、沖縄の食文化をレストランでご提供しているかというのも、やはりここでしか食べられないものを体験してほしいという思いがあるからなんです。
僕らは、琉球ガストロノミーという文化を作っていきます。
ーTASTE LOCALを通して伝えたいメッセージはありますか?
レストラン エタデスプリは、沖縄本島からもさらに離れた場所にあるんですよね。 そこに唯一無二の食の表現をしている僕たちがいるということを、沢山の方に知ってもらえると嬉しいです。
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インタビューでは、渡真利さんは料理を通しての大切にしていきたい思いとともに、なぜそうするかという文脈を丁寧に話してくださいました。その文脈の先にある琉球ガストロノミーという新たな食のジャンルを体験できる日が楽しみでなりません。
TASTE LOCALで、レストラン エタデスプリさんのごちそうを購入することができます。
おうちでこだわりのお料理を味わってみませんか?
◾️『ede_Basque』冷凍バスクチーズケーキ
絶妙な焼き加減とクリームチーズをふんだんに使った濃厚なバスクチーズケーキ。
価格 ¥ 3,500 (税込)
購入はこちらから。
https://tastelocal.jp/collections/items/products/f4711005p10050107