TASTE STORYのインタビューでは、出店者さまへ商品にまつわる背景や思いなどお話を伺っていきます。地域のストーリーを、味わうように楽しんでいただけると嬉しいです。
vol.26は、北海道へ移住し会社員を経て、燻製作りの世界へ進んだMOLLY’S SMOKED代表の大森康史さん。大森さんのこれまでの歩みやブランドを作る上で大切にされていることなどをお伺いしました。
ー大森さんのバックグラウンドについてお聞かせください。
大学卒業後すぐにアメリカに渡って、パイロットのライセンスを取得しました。それで母方の祖母が東京で料亭を営んでいた関係で、そのお客様との繋がりから現地でヘリのツアーなどの仕事をしたりしていました。
30歳を目前に帰国してからは、キャンピングカーで北海道一周の旅をしていました。
その頃から昔から料理や手を動かすことが好きだったので、いつか食に関する仕事をしたいなと考えていましたね。北海道って食の宝庫で、ここで住めたら楽しいだろうなとも。
僕は東京生まれ東京育ちですが、昔から人の多い満員電車が苦手だったり、ドラマ「北の国から」を小さいころから観ていてファンだったこともあって、漠然と北海道への憧れもありましたね。それから移住してから25年以上が経ちました。
ーベーコン作りを始めるきっかけは何だったんですか?
以前、僕の奥さんの叔父が北海道で大きな養豚場を営んでいたのですが、ハムやベーコンも作っていたんですね。全国に沢山お客様がいらっしゃって大変評判だったんです。それで、生でも食べられるよと勧めてもらったベーコンが、本当に美味しかったんです。それから僕もずっとファンで食べていました。
そこから本格的にベーコン作りを学ぼうと、師匠について指導を受けたのが6~7年ほど前になります。レシピから燻製の技術などひと通り学ばさせてもらう中で、もし自分でブランドをやるなら、無添加にこだわりたい、自分のオリジナリティを出したいと考えるようになり、自ら素材選びとレシピを研究し、現在のMOLLY’S SMOKEDの形を作っていきました。
ーベーコンはどのように作られているのですか?
ヨーロッパだと地下倉庫のような場所で貯蔵させたりしていますが、日本は高温多湿の気候でもあるので秋までは冷蔵庫で貯蔵し、11月中頃本格的に寒くなってきたら燻製庫に移して熟成させています。水も空気も綺麗ですので、北海道は燻製作りに適している土地であると思いますね。
近年温暖化の影響もあって、北海道もだいぶ暖かい気候に変化してきています。そのため夏だと冷蔵庫の設定温度が冬より高くなってしまうので、塩の濃度や漬け込みの期間を変えたり、季節に合わせて細かな調整をして、すべて僕一人で手作りしています。
ーベーコンなどの燻製文化は西洋のイメージが強いですが、日本で生産者として携わる上で意識されていることなどはありますか?
大前提として僕の作るものは僕自身であり、自分の個性を表現することが大切だと思っています。そのために食文化や世界史、肉と密接なワインの知識を深めたくて、ワインエキスパートになるべく試験に向けて勉強しています。
ワインのことを学んでいくとそれにまつわる歴史的背景を知っていくことになるんです。今まで普通に飲んでいたワインでしたが、農家の方々がどういう気持ちで育て、一年を通じてどうやってブドウが出来上がって、どんな技法でワインへと仕上げていくかという工程の中で、ベーコン作りと共通する部分があることに気付くんです。
使っている素材は違いますが、どういうことをやってはいけないとか、どういったひと手間かけることで美味しくなるとか知るキッカケになるので、学びから自分のもの作りに活かしていますね。
***
毎朝4時からワインや食・歴史の勉強を続けられている大森さん。探求すること、学び続けることに年齢は関係ない、改めて学ばせていただいたインタビューでした。
文:塚越 理英
TASTE LOCALで、MOLLY’S SMOKEDのごちそうを購入することができます。 おうちでこだわりの逸品を味わってみませんか?
■モリーズ 北海道生ベーコンセット
厳選された素材を無添加ですべて手作りで仕上げたベーコン。
¥4,320 (税込)
購入はこちら >>
その他の商品はこちら>>