TASTE STORY

「キタノカオリとともに 」 北海道岩見沢市 ベーカリーカンスケ (前編)

TASTE STORYのインタビューでは、出店者さまへ商品にまつわる背景や思いなどお話を伺っていきます。地域のストーリーを、味わうように楽しんでいただけると嬉しいです。

vol.22は、 北海道中部に位置する岩見沢市で40年以上に渡りパン屋を構える、ベーカリーカンスケ。冬は豪雪地帯で雪の下のミネラル豊富な土壌は、パン作りに最適な小麦、キタノカオリを生んだ地でもあります。今回は、キタノカオリ小麦とともに地元の食材にこだわったパンを作り続けている代表の山本吉信さんに、商品作りにかける想いなどをお伺いしています。

 

 

ーベーカリーカンスケのこれまでについて教えてください。

1975年に北海道岩見沢市で先代がはじめて、創業40年以上の老舗パン屋です。

11年前に私が代表を引き継いで二代目になります。

25年前から北海道産の小麦100%使用にこだわり、自分のこどもにも安心して食べてもらいたい、そんな想いで焼き上げています。

実は北海道産小麦に切り替えた頃、国産小麦はよい評価がされていないというのが一般的な認識だったんです。なのでパンで使われている小麦は、どこ産のものか分からない状態だったんですね。品質も味の良いものを作られていたのは、ごくわずかの生産者さんに限られていて、ほとんどが輸入品でした。

 

 

ー国産小麦の評価が低い中で、北海道産小麦を認知してもらうようになったキッカケはどんなことでしたか?

キタノカオリ小麦が誕生したのが18年前だったんですが、それ以前はパン用に適している国産小麦は少なく、価格も高かったんですね。お客様からもなぜ国産にこだわる必要があるんだと厳しいご意見をいただくこともあり、パン屋をあきらめようかと考えたこともありました。

そんな状況を変えるべく地元の農家も協力し、 「キタノカオリ小麦」が開発されました。地域一体となった地産地消の取り組みが始まったことは、なによりも嬉しい事でした。

北海道庁が地元産小麦の開発や普及活動を全国に向けて行っていたこともあって、今では北海道の小麦は安心で美味しいと全国から注目を集めています。

 

 

ー使用されているキタノカオリはどんな特徴がありますか?

パン用小麦開発の歴史の中で、奇跡的に誕生したのがキタノカオリ小麦でした。小麦の生産主要国にも引けを取らず、世界でも通用する小麦だと思います。

キタノカオリはしっとりしていて、小麦の香りも強く、旨味も感じられます。

それが私の住む岩見沢市で9割以上生産されているということがアイデンティティであり、運命的な出会いと思っていますし、自分でしかできないことがあると可能性を非常に感じています。

 

 

ーキタノカオリは生産量が減少していってるんですね。

キタノカオリ小麦存続のために、岩見沢市と生産者が一体となって取り組んでいますが、キタノカオリは収穫前の雨天などの影響をうけやすく、農家にとっては手間がかかる小麦なんですね。そのため生産量が減ってしまい、生産を辞めようという話もあったんですが。

JAいわみざわ管内で、生産者の声を聴きキタノカオリ小麦の存続、継続が決まりました。

パン屋からは非常に評価も良く、需要度の高いキタノカオリ小麦ですが、まだ供給が追いついていないのが現状です。

今後はキタノカオリ小麦をもっと大切にしていこうと地元の農協や生産者と話し合い、数年かけて作付け面積を増やしていこうと計画しているところです。

 

 

後編へ続く。

 

***

インタビュー時、岩見沢市の朝の気温は10度、東京は30度を超えていていましたが、年々北海道にも長雨や猛暑日が増えていて、キタノカオリ小麦を安定して育てるのが大変な環境になっているそうです。最高品質の小麦から味わえるベーカリーカンスケさんのパンを通して、生産者さんへ還元していけたらと感じました。

文:塚越 理英

 

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