TASTE STORYのインタビューでは、出店者さまへ商品にまつわる背景や思いなどお話を伺っていきます。地域のストーリーを、味わうように楽しんでいただけると嬉しいです。
vol.20は、宮城県の三陸・金華山沖で獲れる金華鯖は、鯖の中でも大型で非常に脂の乗った逸品です。地元ササニシキのお米と合わせた金華鯖ずしは、意外にも東北では馴染みのないものでした。
今回は、金華鯖ずしを作り続けている華ずしの代表である板橋さんに、鯖寿司との出会いや商品作りにかける想いなどをお伺いしました。
ー華ずしのはじまりについてお聞かせください。
以前から水産加工業に携わっていたのですが、先代が京都に訪れた際に鯖寿司に出会い、その美味しさに衝撃を受けて、2005年に法人化するタイミングで、鯖ずし一本でやっていこうというところから華ずしがスタートしました。
元々工場が石巻にあったのですが、2011年の震災の時に津波で全て流されてしまい、仙台の杜の市場での出店のお話もいただいたことから、拠点を仙台に移して現在に至ります。
ー鯖ずしというと関西地方の食文化のイメージが強いですよね。
そうなんです。実は地元の宮城ではあまり保存食文化というのが発展していなかったんです。寒い地域ですし海が近いので、焼くか煮ていただくというのがほとんどだったんですね。そのため鯖ずしを作り始めた頃は、地元の人には鯖ずしって何?というくらい知られていなかったんです。
地元で受け入れてもらうまで、かなり時間がかかりましたね。
ー鯖ずし文化のない地元で知ってもらうためにどんなことを意識されてきましたか?
はじめは出入りしていた魚市場へ卸販売をしていたのですが、産地と鯖ずしというのが分かればいいんじゃないかくらいで、そこまでブランディングなど意識していなかったんです。鯖ずしの認知もないなかで全く売れませんでした。
そこでもっとたくさんの方に受け入れてもらうために、パッケージデザインを考え直したり、贈り物用のパッケージを作ったり、少しずつ改良を重ねていきました。駅や高速道路のSAへの販路も広げていって、ようやく知っていただけるようになったと思います。
ー京都で出会った鯖ずしが原点かと思うのですが、鯖ずしに馴染みがない地元で受け入れてもらうために、味の調整などどのように考えられてきましたか?
鯖ずしというと、少し多めのご飯と鯖を食べるというイメージなんですが、一般的な握り寿司と違ってネタとシャリの比率が全然が違うんですよね。そこでご飯の分量が多いのが気になったこともあり、少し調整を加えています。
シャリに関しては、関東は酢でさっぱりした感じで、関西は甘酢を使って甘めに仕上げていて違うのですが、美味しく食べてもらうためにどちらがいいだろうと検討して、西の文化を取り入れて甘めに仕上げています。
一番苦労した点は、鯖そのものの質が違って、京都で使われている鯖は日本海・東シナ海産で獲れるものが多く淡白であっさりしているのですが、三陸沖で獲れる金華鯖は含んでいる脂の量が非常に多く、塩が浸透しづらいんです。
塩が弱いと鯖の臭みが残ってしまったり、逆に塩が強すぎると酢が入り過ぎてしまって、身が締まりすぎてパサパサしてしまうんですね。そのため鯖の状態に合わせて、温度管理や塩の分量の調整がとても大変でしたね。
生感を大切に、毎年そのバランスを繊細に管理しながら調整していっています。
後編へ続く。
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骨抜きから一つ一つ手作業の工程で作られる華ずしの金華鯖ずしは、一日に作れる数量も限られているそうです。丹念に作られた味を、色々なバランスを感じながらゆっくりと味わいたいですね。
文:塚越 理英
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