TASTE STORY

【インタビュー】vol.2:愛知県名古屋市の鰻問屋「うなぎ四代目菊川」

TASTE STORYでは、出店者さまや商品にまつわる歴史や思いなどをインタビューしていきます。地域のストーリーを、味わうように楽しんでいただけると嬉しいです。

第二回目は、鰻問屋としてはじまり、日本の食文化を守り続けている「うなぎ四代目菊川」 

四代目として家業を引き継がれた、職人でもあり・経営者でもある菊川さん。家業という枠にとらわれず、業界全体の未来を考えながら新たな挑戦を日々続けています。

今回はそんな菊川さんへどんな思いで家業を継がれたか、これまでの挑戦などを伺ってみました。

 

***

 

ーうなぎ四代目菊川のはじまりをお聞かせください。

昔名古屋のあたりは、川漁師という鯉や鮒・蛙などを川で獲っている人達がいたんです。海の魚があまり入ってこなかったので、川魚を沢山食べていたんですよね。

初代はその人達を束ねて、皆さんに売る魚商のようなことをしていました。二代目からは、鰻を扱うようになって、鰻店へ卸を行うようになりました。

実は父の実家は鰻店をやっていて、菊川は母方の家業になるんです。

両親は父方の鰻店と、母方の鰻問屋をそれぞれに手伝っていました。ただ父方の鰻店を祖父が続けていくのが大変ということになって、店を閉めてから、後々に両親が問屋を継ぐ形になりました。

母は僕を産んで1週間くらいしてから、僕をおぶって仕事をしていたそうです。

 

ー菊川さんが小さい頃から、家業のお仕事を目の当たりにされてきたんですね。

そうですね。鰻屋の卸問屋の仕事は夜中の2時頃からスタートします。鰻問屋って、その日に使う鰻をその日に納品するので、365日配達は稼働していて、本当に大変なんです。生き物を相手にしているので、休みがないんですよね。

僕も大学生の時は、毎日朝4時から9時まで仕事を手伝ってから学校へ行くという生活をずっと続けていました。 

小さい時からずっと両親の働いている姿を見てきて、仕事への熱量を学ばせてもらったことが、今の自分の働くことへのモチベーションへと繋がっているように思います。

 

  

ー菊川さんはいずれ継ぐイメージはあったんですか?

継ぐというよりは、企業という形にしていきたい思いがありました。父が経営者だった時までは、ずっと家業としてやってきていました。

家業って人と人との関係性で成り立っているようなもので、粗利とか度返しで、付き合いだけで曖昧なまま続いているようなところを感じていました。それって、人としての魅力もないと続けられないなあと。

家業の良い点も悪い点も見てきて、僕は18歳の時に家業から企業にして社長になると決めていました。大学の卒論では、自分年表を作って、企業にして海外に店を展開していくことを考えていましたね。

例えば、企業を作るためには、雇用を作らないといけない。そのためにお店を作れば、雇用を作ることができる。企業にするなら、上場を目指してやらなきゃとか。

すでにこの頃から、家業を企業にすることを明確にイメージしていましたね。

  

ー大学卒業後は、すぐにご実家でお手伝いをされていたんですか?

学生時代に実家の問屋業をずっと手伝っていたんですが、企業を作るためにはコミュニケーションがとても大切で、食べていただくお客様の気持ちを理解できないとなあと思っていて。

それは作り手とお客様の求めるものの熱量のずれみたいなものを感じていたからなんです。それで、ひつまぶしで有名なお店に就職しました。そこで店舗での経験を積んで、次のキャリアでは養殖を学ぶことも決めていました。 

でも先に店舗で働くことを選んだのは、お客様の気持ちを理解できて、本当に求められているものを提供できる側になろうと思って。問屋→鰻屋→養殖という流通全体を学んできました。

 

ー色々な経験を積まれて、いよいよ家業を継ぐことになるんですね。

4年半の修行を経て、27歳の時に実家に戻りました。

鰻屋の流通の色々な知識を蓄積してきて、両親といざ仕入れや流通のことを話すとぶつかることばかりでした。

でも、僕は家業の枠に留めず企業にしていきたかったので、これまでの仕入コストを見直したり、仕入先を変えたり、両親に相談せず勝手に物件を見つけてきて、店を始めちゃいました。

ただ鰻問屋が鰻屋をやるのは、お取り引き様と競合してしまいます。なので、最初に始めた店は、すっぽん屋でした。

それから僕が社長を引き継いでからは、副社長の阿部、総料理長の西平を参画させ、少しずつ会社の形にしていき、今では、国内10店舗・海外1店舗(シンガポール)まで展開できるまでになりました。  

 

ー家業から企業へと着実に拡大されていったんですね。

鰻屋で店舗を拡大していたり、上場している企業って今までないんですよね。そもそもなぜ企業にしたいかというと、職人の育成のためなんです。

うなぎに関わる人の分母を増やしたいんです。鰻って生きているし、1匹1匹特徴が違って機械化ができないからこそ、それを扱う人材の育成が大切なんです。

そして職人を育成することは、日本の文化の一部である鰻の食文化を守ることに繋がると思っています。

だからこそ、僕らがやる意義があると。

 

ー創業90年と続けるにあたって変えてきたこと、変えないで続けてきたことはなんですか?

やはり家業から企業にしたことは大きな変化ですね。雇用する機会を作って、職人を育成してきていることです。お店を出店すれば、職人を育てる場が増えますからね。 

僕は小さい時から鰻を目の前に、その日に使うものを判断をしてきました。生き物なので待ったなしです。その積み重ねが、お店を作る際の決断の早さにも繋がっていると思います。見切り発進で失敗することもありますが、そしたら修正するだけですからね。生まれ育った環境って、とても大きな影響があると思うんです。 

逆に変えずに守っていることは、菊川の味ですね。卸問屋としての目利きと、先代から継ぎ足してきたタレの味は変えずにいます。

うなぎ店でどこが美味しいですか?とよく聞かれるんですが、十人十色と皆さん好みが違っていいと思うんです。色々なお店に行って、自分の好きな味を見つけてもらえれば。

菊川はその中で、先代から続けてきた味を変えずに良いものを提供し続けていきたいと思っています。 

  

ーTASTE LOCALを通して伝えたいメッセージはありますか?

皆さん、日本文化を食べていらっしゃいますか? 

このメッセージをなぜ投げかけたかというと、人って食べることからすべてがスタートするじゃないですか。その中で良いものを食べるというのは、食育にもなるし、食に興味をもつきっかけにもなると思うんです。

僕たちは日常の中で、日本の文化を引き継いでいることに少しでも気づいてもらえたらと思っています。

また、今回コロナ禍でお店を休業しなければならず、それでも日々獲れる鰻を無駄にしないためにも、オンラインでの販売に踏み切りました。そこで気づいたことは、こんなにも鰻を食べたいと思っている方が沢山いらっしゃるということです。

これからも美味しいうなぎを多くの方に食べていただけるように、色々なことに挑戦していきたいですね。

 

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インタビューを通して、菊川さんの食の伝統を引き継ぐものとしての責任と、仕事への高い熱量を感じて、これから新たな物語が作られていく予感がしてなりません。

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TASTE LOCALで購入できる『うなぎ四代目菊川』の商品

 

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確かな目利きと技術から味わうことのできる一本まるごと鰻と肝焼き、骨せんべいのセット。

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