TASTE STORY

「幻の柑橘へべすを広めていきたい」宮崎県・三重県 日向へべす 株式会社K&Co. (前編)

TASTE STORYのインタビューでは、出店者さまへ商品にまつわる背景や思いなどお話を伺っていきます。地域のストーリーを、味わうように楽しんでいただけると嬉しいです。

vol.17は、 これまでほとんど流通されてこなかった宮崎県日向市原産の柑橘類のへべす。その美味しさに魅了され、へべすの素晴らしさを伝えていくために会社を立ち上げられた、川橋伸一郎さん、田香子さん。

今回は、会社立ち上げまでのエピソードやへべすの魅力をお伺いしています。

 

 

ーへべすをPRする株式会社K&Co.を設立されたきっかけをお伺いさせてください。

伸一郎さん : 長年へべすの研究を続けているへべす大使の妻に出会って、それからヘベスを食べた時にとても美味しかったんです。認知度の低いへべすに注目するのはニッチかもしれませんが、こんなに美味しいヘベスを多くの方に知ってもらえるようにPRできたらいいんじゃないか、これって誰もやっていないことなんじゃないか、これしかないと思ったことが会社を立ち上げるキッカケになりました。

へべすを生業としてやっていくことに対して、ものすごく覚悟もありましたし、へべすに携わる以前から、何か自分で興したいという想いもあったんです。

以前は20年ほど紳士靴のバイヤーなどの仕事をしていたのですが、意外にもへべすと共通していることがあって、例えば高級な革靴と合皮の革靴の違いがわからない方もいらっしゃるんですね。そういう方達にどうやって良さや違いをお伝えしたらいいか、まだ知られていないへべすの良さを伝えていくことと同じ感覚だったりするんです。

 

田香子さん : 私はもともと美容が大好きで、10年ほど美容部員をしていたんです。それから女将として料理屋で働くご縁があって、何かオリジナル料理を作ろうとなった時に、へべすを提案して、それからへべすにのめり込んでいきました。今ではヘベラーと言われています。

 

 

ーへべすの魅力はどんなところですか?

伸一郎さん : 実を言うと、私は柑橘類が苦手なんです。しかも妻と会うまで、宮崎にも訪れたこともなくて。妻と出会ってから、料理の隠し味やレモンではないなというのがお皿に添えられていて、それをへべすと知らずに恐る恐る食べてみたら、ゆずやレモンなどとは違ってまろやかな味で、にがみやクセが全然なかったんです。

催事やイベントでは、男性の一人暮らしの方やご年配の方が健康にも気遣いたいけど、酸っぱい柑橘はハードルが高い。でもへべすなら毎日でも食べられると仰っていただいています。本格的なアウトドアをされている方にも、他にはないへべすが良いと、コアなファンになってくださいますね。

 

田香子さん : へべすって切った断面をすだちやかぼすと比較すると、中の白い部分がとても薄いんです。料理で熱が加わった時に、皮から出る苦味ではなくうがみというのですが、うがみが非常に少ないのが特徴なんです。

日本料理のお椀ものなどには、すだちなどが添えられていますが、そこに熱が加わると香りと同時にうがみも出てきてしまうんですが、へべすにはほぼそれがないんです。

それを知ってから、へべすは色々なものに加工して丸ごと食べるのが可能だと思ったんです。

そういえば小さい時によくポテトサラダに細かく切ったヘベスが入っていたなというのも思い出して。

ヘベスは江戸時代からずっとあって、昔の人たちは丸ごと上手に使っていたんですよね。

 

 

ーそもそもなぜ、へべすは知られてこなかったんでしょうか?

田香子さん : へべすは宮崎県日向市の地域限定の固有種として存在してきたんです。

それがなぜ県内すら広がらなかったのかというと、JAに納める際に部会というのがあって、その結束力がとても強く市外・県外に出ないように守ってきていたんです。

ただ私たちのように県外にいる人たちの活動から、大手の飲料メーカーがへべすに興味を持って、へべすを使ったお酒を作りたいという話も徐々に出てきているんですが、実際へべすの生産量は、例えばすだちが年間1000トンあるとしたら、へべすは100トンにも満たないくらい少ないです。

この現状では一向に広まらないと感じた宮崎県が、マンゴーや日向夏のようにへべすもメジャーにしていこうとやっと腰をあげまして、4年前から県を挙げて生産に取り組むようになりました。

ヘベスの苗木は植えてから実ができるまで、5年はかかるんです。なのであと3年くらいすると、少しずつ皆さんの手元に流通してくるかなと思います。

 

伸一郎さん : ヘベスのオーガニックだったり減農薬栽培にも着目しています。そうすることで、安心して皮ごと口に入れられますしね。

今後は食育にも取り組んでいきたいので、オーガニックでも生産量をどう安定できるかなど力を入れていきたいです。

 

 

後編へ続く。

 

***

何でへべすなの?へべすって何?なんで宮崎にいないの?毎回聞かれる質問に、催事やイベントでへべすを広めるべく伝えて続けています。

それは全てへべすのため、だって本当に美味しくて健康にも良いんだから。お二人のまっすぐな思いがとても印象的でした。

文:塚越 理英

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