「すべては未来へ残したいから」塩生キャラメル専門店 firando （前編）

TASTE STORYでは、出店者さまへ商品にまつわる背景や思いなどお話を伺っていきます。地域のストーリーを、味わうように楽しんでいただけると嬉しいです。

vol.14は、専業主婦の自分は子供たちへどんな生き方を伝えていけるだろう、消滅可能性都市と指定されている故郷で、0からの起業をされたfirando、心優-CotoyuSweetsの創業者でもある小値賀布美華さん。

今回は起業に至った背景や、ビジネスを通してどんな未来にしていきたいかなどをお伺いしました。

ーもともと日常的にお菓子を作ったりされていたんですか？

小さい頃からずっとスイーツが大好きで、家族の誕生日ケーキはずっと私が担当していました。それから色々なパティスリーへも食べ歩きをしていたんですが、心から感動するようなスイーツに全然出会えなかったんですよね。

それと実家が健康志向でもあったので、カップラーメンを食べたのも大人になってからでしたし、市販のお菓子を食べるとすぐに口内炎とかできてしまうんですよね。

育った環境も自然に囲まれた場所で、人工的に加工されたものを食べると、正直に体が反応してくれるみたいで。なので、ケーキを作る時は白砂糖は使わないようにしようとか、気をつけるようになりましたね。

そんなこともあって、自分で作るようになりました。

ーそこからどういったきっかけでfirandoを立ち上げることになったのですか？

平戸生まれ平戸育ちなんですが、結婚前は福岡でアパレルの派遣社員をしていて、結婚を期に地元に戻ってきました。

結婚してからは専業主婦で子育て中心の生活だったのですが、仕事を辞めて少し時間ができたこともあって、体に良いもので感動するくらい美味しいものが食べたい、と思って、ケーキを作っていました。

もともと追求する性格もあって、1日に4ホールとか焼いてましたね。

さすがに家族では食べきれないので、周りの友人たちに配っていたら、めちゃくちゃ評判になって、「美味しいから買いたい」「作り方を教えてほしい」「カフェをやってほしい」というお声をいただくようになったんです。

母親になって、子供には自由に自分の好きなことをしてほしいと思っていたんですが、現状の平戸では職業の選択肢どころか、街自体がなくなってしまう。専業主婦の自分が子供たちに何を伝えていけるのか。そう考えていったときに、自分の得意なことでキャッシュを生み出せれば、自分で生きる方法を教えられると思って、起業を決意しました。

実は地元のことを調べていったら、すでに人口３万人を下回っていて、日本の消滅可能性指定都市のリストに入っていたんです。