TASTE STORY

【インタビューvol. 12】岩手県一関市のレストラン「熟成肉 格之進」

TASTE STORYでは、出店者さまや商品にまつわる歴史や思いなどをインタビューしていきます。地域のストーリーを、味わうように楽しんでいただけると嬉しいです。

第十二回目は、牛を通して食のイノベーションを起こすべくレストラン・肉学校・オンラインなど様々な提案をされている「熟成肉 格之進」。

今回は代表取締役の千葉祐士社長に、創業のキッカケや食を通して大切にされている想いなどをお伺いしました。

 

 

ー格之進のはじまりについてお聞かせください。

祖父の代から岩手県南・宮城県北の畜産農家から牛を仕入れ、東京の芝浦に納める家畜商を生業としていました。牛馬を売買する人たちを博労というのですが、その名残が

現在の馬喰町は繊維問屋となっていますが、商人の成り立ちとして残っていますよね。

祖父の時代から東京と地元岩手を繋ぐ仕事をしていたところから、私も牛を中心としながら食全体を一関市から東京・世界へ繋ぐ・届けるということをテーマに事業を展開しています。

 

 

ー家畜商から現在は飲食事業の格之進を運営されていますが、そのキッカケはどんなことだったんですか?

牛を一貫生産していくと1頭が種付けから出荷するまで通常3~4年かかるんです。

種付けをして子牛が生まれるまで約10か月、生まれてから成牛になるまで約30か月かかるにもかかわらず、牛の値段というのは40ヶ月後の相場で決められてしまうんです。

その相場というのは、肉の良し悪しもありますが、世の中で需要が多ければ高く売れるし、必要とされなければ相場は低くなってしまう。生産者は40ヶ月後が見えない中で牛を育てていかなければいけない。私は決してそういう状況が良いとは思わなかったんです。

自ら生産した商品を、自分たちで最終の値段を付けられる状況にしていくにはどうしたらいいか、そう考えた時に卸ではなく自分たちのレストランであれば相場に左右されずブランドとしての価値をストレートに伝えることができ、生産維持可能な値段で取引をしていける、そんな想いから格之進がスタートしました。

 

 (東京・富ヶ谷の格之進 Rt )

 

ー格之進がモノづくりをする際に、大切にされている思いはどんなことでしょうか?

ユニクロのような肉のSPAを目指して1999年に起業したのですが、なぜそのタイミングだったかというと、バブルが崩壊して全国に不景気の波が行き渡って、一番景気が落ちた時と言われています。そんなどん底からのスタートであれば、あとは上るだけという思いで必死でやってきました。

格之進が他と圧倒的に違うところは、牛を作るプロがベースにいて、牛作りを真剣に考えて生産者を応援する方法は何かを考えた時、牛一頭を使い切れる力を付けることだと思ったんです。

格之進では、牛は82分類位に分けることができるのですが、例えば牛タン10本だけがほしいので、他の部位は要りませんと言われても困ってしまいますからね。

牛一頭買い取ることができれば、生産者の方は安心して育てることに集中できますよね。

 

 

ーそういった考えから業界自体を変えていきたいというお考えもあるのでしょうか?

私たちは業界自体を変えていこうというよりは、一つの提言として事業を行っていくことが社会における価値なんじゃないかと思っています。

生産者の方が安心してものづくりをしていくためには、私たちが一頭を買取り、最終加工まで担うことができて、最高の評価をしてもらう形に整えるまでの力をつけることがとても重要なんです。

そうやって高く評価してもらい、価値を付けていければ、生産者さんがもっと良い牛を育てるためのコストにも還元していけることになっていくと思うんです。

私たちはお肉の今までになかった新しい価値を作ることによって、食のイノベーション・肉のイノベーションをやり続けてきました。そうすることで、私たちがプライシングリーダーになり、正当な価値をつけることによって、生産可能な状態を作っていきたいと思っています。

 

 

ー商品開発をする上で、軸とされていることはありますか?

とにかく突き詰めてお肉を多角的に因数分解していくということが、とても重要です。そして作ったものをいかに流行らせて文化にしていけるかということも、大切なことですね。

美味しいと思ったお客様が、周りの方へ伝えたいと思えるか、そのために日々より良いものを提供できるよう試行しています。

そして違う要素とかけ合わせることによって、新しい価値観を生み出していけるかということも常々考えています。
例えば、脳科学者の方と共同開発したエナジーバーグ、発酵や熟成を研究していったら牛醤が出来たり、海と大地のうまみを掛け合わせた牡蠣とお肉の組み合わせや、パイ生地とお肉をミートパイの領域を超えてハンバーグパイを作ったり、常識というものに騙されず、そのものの価値をどうしたら高めていけるか、本質に向き合っています。

 

 

TASTE LOCALを通して伝えたいメッセージはありますか?

私たちは食の消費は、食の未来に対する投資活動であり、農業の未来に再投資すること。そして格之進というプラットフォームを通じて、様々な食の未来を一緒にクリエイト=創造していくことだと思っています。

島国である日本で食料が不足した時、海外から輸入する選択肢を取るか、もしくはどんどん増え続けている耕作放棄地を利用して国内での生産・消費を選んでいくのか。

輸入品は安いからという経済合理性に任せて、海外に依存する状況を進んでいいのかということを考えていく場になっていければと思っています。

日本の豊かな食を守ってくれているのは、間違いなく生産者の方たちなので、どのように最適な関係性を築いていけるかを提言していくのが格之進でありたいと考えています。

世の中的には、CSA(Community Supported Agriculture)という言葉がありますが、私たちはRCSA (Restaurant Community Supported Agriculture)という格之進のレストラン・オンラインを利用してくれる方たちとともに、食の未来を一緒に想像していきましょうということをやっていきたと思っています。

 

 

***

 

インタビューを通して、千葉社長がいかに常識に騙されず、ものづくりの本質に向き合っていくことが重要かということを仰っていて、非常に印象的でした。

コロナ禍が続き、情勢に左右されやすい時代が続いている中で、どんな状況でもいかに本質を見極めていけるか、私たち自身もしっかり力を付けていかなければと改めて感じました。

TASTE LOCALで、格之進のごちそうを購入することができます。

おうちでこだわりのお料理を味わってみませんか?

 

◾️格之進 門崎熟成肉カレー 

門崎熟成黒毛和牛にオリジナルの調味料「牛醤」を隠し味に加えた濃厚カレー。

価格 ¥1,296 (税込)

購入はこちら。

https://tastelocal.jp/collections/ranking/products/f0331100p11002402

 

◾️熟成肉の格之進 薫格メガネ塊焼き 約150g

牛の骨盤まわりの希少部位「めがね」。牛の旨味が凝縮された逸品。

価格 ¥7,560 (税込)

購入はこちら。

https://tastelocal.jp/collections/sos202101/products/f0331100p11001602

 

◾️格之進 牛醤肉饅頭 1パック (10個)

格之進のハンバーグを饅頭でも味わえる、牛醤肉饅頭。

価格 ¥1,296 (税込)

購入はこちら。

https://tastelocal.jp/collections/ranking/products/f0331100p11002202

 

現在格之進ファミリーセールを開催中!(〜3/31まで)

商品ラインナップはこちら。

https://tastelocal.jp/collections/kakunoshin-familysale

 


前の記事へ 次の記事へ